《肘の可動域とADL》

肘関節の「正常可動域」と「実用可動域」があります。実用可動域とは日常生活上で必要とされる可動域を指します。

ADL(日常生活動作)に必要な実用可動域は以下の角度となります。これらは隣接関節の代償を利用した角度であり、実際はこれ以上の可動域が必要とされています。
※但し、参考書により角度に若干の誤差があります。

【肘関節の正常可動域】

右肘を外側から見たイラスト
屈曲:145°
伸展:5°

【肘関節の実用可動域】

屈曲:130°
伸展:-20〜30°

【肘関節のADLに必要な可動域】

食事:75°以上(肘関節屈曲)
歯磨き:75°以上(肘関節屈曲)
洗髪:75°以上(肘関節屈曲)
洗顔:95°以上(肘関節屈曲)
ボタン開閉:105°以上(肘関節屈曲)

これらを確認すると、肘関節の屈伸動作では正常可動域と実用可動域に約45°の差があることがわかります。これは、日常生活上でのリーチ動作は肘関節伸展-20°〜30°程度の使用が多く、肩や前腕、手関節、手指により代償していることが多いためとされています。また、口元まで運ぶような動作では、肘関節屈曲は約120°の使用が多く、後は手関節やスプーン、箸などの道具を使用して行われるためとされています。

症状をお持ちの方へメッセージ

大腿骨頸部骨折後や脳梗塞の治療後に、当施設を利用される方が多くいらっしゃいます。今ある機能を維持向上させることはもちろん大切ですが、現状の生活で何が課題になっているか一緒に確認をして、安心して自宅で過ごせる環境づくりやリハビリを行っていきましょう。