About Care症例報告

その他症例報告

その他症例報告についてご案内します。

口腔ケアにおいての一幕

昼食後に80代男性がトイレに行かれた。職員が口腔ケアに入る前に、トイレに行かれたと思っていたら、洗面所で手洗い洗剤を付けて歯磨きをしていた。直ぐに職員が気が付き、うがいをして事なきを得たが、職員びっくりして慌てた行為が、利用者様を慌てさせてしまい不穏にさせてしまいました。どんな状況であれ、声掛けはゆっくりとすることが大切だと学びました。それからは、洗面所の手洗い洗剤は大きく「手洗い」とマジックで書きました。
現在はコロナウイルス感染予防のため、洗面所に手洗い洗剤と消毒液が置いてありますが、職員の見守りの中で手洗いを行い、又定期的に職員が椅子の肘掛け、手すり、トイレ内を消毒しています。
各家庭でも消毒される事が多いと思います。間違って口に入れない様に置き場所を注意したいですね。入れ歯洗浄剤も同じく注意したいですね。

アルツハイマー型認知症

80代半ばの女性。3年前にアルツハイマー型認知症と診断された。夫と二人暮し。近くに長女家族が住み、定期的に訪問し面倒を見ている。
台所仕事や洗濯物をたたんだりする事も、段々分からなくなりボーとしていることが増えてきたとのこと。家族は認知症だから出来ないからやらせない、家族がやった方が早い、そうすればイライラしないと思っているが、本人の意欲の低下は気になるとのこと。
どうせ分からないからと決めつけるのではなく、一つひとつ声掛けしたら洗濯たたみや、味噌汁作りも出来る人が多くいます。
時間を作り、声掛けしながら行ってみると、本人の意欲の向上にもつながりますし、それが認知症の予防にも繋がっていくと思います。

70代半ばの女性

夫と2人暮らしで3年前にアルツハイマー型認知症と診断。
夫から食事は好き嫌いが多く少食で、野菜は食べないので困る。どうしたら良いのかと相談されたケースです。
デイサービスに通い始めた当初は、昼食はご飯を一口程度、副食も少し召し上がる程度。声掛けをさせて頂いても、もうお腹いっぱいと言うのみで水分も取れていませんでした。
甘いおやつは召し上がることが出来るので、嚥下に問題はないと予想されましたので、以下の内容に問題がないか、考えてみました。
お腹がすいていることが解らなくなったのか?
口に入れる事を忘れてしまったのか?
下のみ歯があり、上には入れ歯が入っていないから、噛む事が困難なのか?

何回か様子をみて、〇〇様と会話をして素麺なら食べられる様子だと思い、夫に確認してから素麺をお出しするとスルスルと全部召し上がり、副食も半分召しあがる事が出来ました。
今日は沢山召し上がって下さり嬉しいと話すと、笑顔を返して下さいました。
食事の席なども気を付けて、食べる事は楽しくて、嬉しい事だと思ってもらうことで、食事量を増やすことができました。
その方の昔好きだった食べ物や、好みを聞き出し、いろいろと試してみることが大切だと思います。

鏡に話しかけてるおばあちゃん

80代女性で、息子夫婦と3人暮らし。
デイサービスには週3回利用されていました。
お嫁さんから「お婆ちゃんが鏡に向い真剣な顔つきで話してる。気味が悪いし認知症が進んだのかしら」と相談されました。
鏡に普通に話し掛けている時には見守りをし、怒り出した時には優しく「お婆ちゃん、そろそろご飯ですよ」などと優しく笑顔で声掛けをするようにアドバイスをさせてもらいました。
決して鏡に話し掛けている時に、「鏡に誰もいないよ」「気持ち悪い」など批判的な事は言わず、最初のうちは気になっても少し離れた所から見守りをして、様子が変だなと感じた時には、「お婆ちゃん、おやつを食べましょう」と優しく声を掛けてあげて下さい。
受診時こんな事が有りましたと医師に相談してもらうことも大切だと思います。

お金が消えた

90代女性(Aさん)で息子夫婦との3人暮らし。
5年前から手元のお金が早く無くなり始め、息子様にお金が無いと訴える事が多くなってきた。
自分で欲しい物は買い物に行っていたので、何か必要な物を購入していると思い、息子様はお金を渡していた。同じ頃、病院に行く日に保険証や診察券なども無いと言い、探すことも多くなった。
その為、息子様が1つのバックに大事な物を入れ、壁に掛けて置いていくようにしたが、気がついたら無くなってしまう事が増えた。
どこに置いたか、どこにしまったと聞いても、自分は知らないし、息子の嫁がどこかに持って行ったと言い喧嘩になってしまいます。
大切な物は誰にも分からないないように、自分だけが分かるようにしまうつもりが、直ぐに忘れてしまう。何を置いたかも忘れて「困った、あれはどこだった」と毎日の様に探す行為が出てきてしまいました。

そこで、Aさんは息子夫婦を困らそうとしたわけではないし、少しでもしっかりして、家族に迷惑は掛けたくないと常に思っていると話していることを伝え、物を無くしたという訴えがあった時は、一緒に探すようにアドバイスしました。
後日、Aさんに息子様が一緒に保険証を探そうと声を掛け、タンスの中を上から開けタオルの間から見つける事ができました。また、畳んである袖の中からお金も見つかりました。
物を無くすという行為自体は続きましたが、本人様が安心して過ごすことができるようになったことで、家族の方も安心して過ごせるよになりました。
決して焦らずに、本人のペースに合わせて寄り添うことが大切だと感じたケースです。

やさしくなりたい

80代女性。
夫と娘と住んでいる。
週4日間デイサービスを利用しているが、デイサービス利用日に急に頭が痛いからお休みすると言い出したり、又行くと言ったり、ころころ意見が変わりことに対して、家族が大声で怒ってしまうとのこと。怒る事は駄目だとわかってはいるけど、優しく出来ないのでどうすればいいかと、相談を受けたケースです。
私からは、デイサービスの支度だけして離れて下さい。迎えに行った職員に任せてみてはどうでしょうと提案させてもらいました。
職員は明るく笑顔で〇〇さんおはようございます!お迎えに来ました!と笑顔で対応。手を握ったりして安心して頂き、では行きましょと笑顔で対応しました。家族の方も職員に任せることで、関わりの中でのイライラすることが減ったとのことです。
ご家族の方は、思うような対応ができないと、ついイライラしたり、カッとなる事も多くあると思います。それは、私も含めてどの家族でもあることです。感情のコントロールが難しい時は職員を頼って下さい。一人で悩まないでください。

アルツハイマー型認知症のお客様の対応

80代の女性でアルツハイマー型認知症で夫と息子との3人暮らし。
近くに娘さんが住んでおり時々お手伝いに来ている。
自宅内に居ても、帰らなくちゃとウロウロする。ここが家でしょと言っても落ち着かない、どうしたら良いか?と家族から相談を受けたケースです。
デイ利用中も落ち着かない様子があり、目を合わせてお話ししても落ち着かない時に、利用者様の横に並び体を近づけ、手を軽く触れ同じ方向を向き、季節の花を見てはあれは綺麗だけど、何と言う花かな?など利用者様が、好きだった事などをゆっくりとお話しされると落ち着かれました。
前ではなく、横並びで体を寄せることで相手が安心されると思います。

声の掛け方

77歳男性で妻と2人暮らし。アルツハイマー型認知症のA様のケースです。

A様は転倒リスクもあるため、新人の職員のBさんは監視をするかのように見守りをしてしまっていました。例えば、何か気になる事があってキッチンの近くに行ったと思いますが、職員は一人で行ってしまったことに慌てて、「何してるの!」と大声で叫んだり、コンセントを触っていると、「壊さないで」と、A様を見ると批判的な事ばかり言ってしまっていました。
ある時、A様とお話ができました。A様から(あのB職員は嫌いだ!俺は何にもしないのに、キッチンの中を覗いていただけなのに、怒鳴るんだ。大嫌いだと話してくれました。
介護に慣れていないB職員には、いくら転倒の心配があったとしても、利用者様に理由も聞かず怒った言葉掛けは言わない。気になる行動があれば、お水が飲みたかった?お昼ご飯が気になりますね?などと優しく声を掛けてもらうように指導しました。
するとA様の行動も落ち着ついてきました。

認知症や転倒リスクのある方に対して、私たちも危険を減らす為に、行動制限をするような言動を取ることがあると思います。しかし、認知症の方も怒られているか褒められているかはもちろん解ります。
職員も家族の方も、本人が何をしたいのかをよく見極め、声かけをしていきましょう!

ご近所づきあいの大切さ

80代女性で独居、アルツハイマー型認知症と診断。
娘さんが、仕事帰りに様子を見に行っていた時に、近所の方から外に出掛ける洋服がおかしい、コンビニに買い物に行き持参したお金以上の商品をカゴに入れ、注意されているのを何回もみていると言われ、びっくりされたとのことです。定期的にお金を渡していたので、自分で買い物に行き、食べたい物を買って問題なく生活できていると、娘さんは思っていました。
ケアマネジャーさんに相談した所、自宅で一人で過ごすよりも、デイサービスを利用する方が良いと言われ利用が開始となりました。しかし、デイサービスに来た途端「私帰ります。こんなとこに来ている暇はありませんから帰ります。」と言われ、デイルー厶内をウロウロ歩く行動が見られました。自宅でお風呂に入れていない為、体臭が強く、髪の毛も長く、洗髪もされてない状態でした。そこで、お風呂にお誘いすると、家で毎日入っているからと拒否がありました。拒否があった後のお誘いの仕方ですが、お孫さんの〇〇ちゃんが、おばあちゃんに会いたいと言っていますよ。と事前情報を使いながらお誘いした所、「じゃぁ入るわ」と気持ち良く入られ、全身さっぱりされた様子でした。
真夏なのにセーターを着込んだり、真冬なのに薄着で素足だったのを近所の方が(何だかおかしいぞ)と見て娘さんにお話しされたので、早い段階で認知に気付くことができたケースです。
デイの利用は、場に慣れてもらうために、しばらくの間入浴と昼食の提供という半日対応を行いました。
ご家族が気が付かないことも、ご近所さんがこれは変だぞと思い、声を掛けてもらえる近所付き合いは大切ですね。

役割をもつ

今回はアルツハイマー型認知症と診断された方に役割を持って頂いた事例です。
80代後半の男性で、病院関係のお仕事をされていた方です。デイサービスの利用を家族やケアマネジャーさんが勧めましたが、自分はしっかりしてるから、そんな所に行く必要はないと拒否が続いていました。ある時、デイサービス利用中に、他の利用者様で血圧が高めの方がいました。職員が再検をしていたら、その方が真剣な顔で「どう。私が診ます。」と血圧計を使い、血圧の測定を始めました(もちろん、デイサービスの看護師がそばにいて見守りを行った状況下です)血圧を測り終えると、「血圧は大丈夫ですよ」と利用者様に優しく話されました。
それからは、体調が悪い方がいると、「どう。私が診ます。」と言って、心配してくださるようになりました。デイサービスを利用され役割を持つことで、生きがいや、生活の中での張り合いが生まれたようです。他の利用者様から相談されることが嬉しいようで、毎日行かなければと言われるようにまでなりました。役割がある事が良いですね。

本人の自尊心を傷つけない

90代の女性で息子、孫夫婦と住んでいるケースです。
基礎疾患は、アルツハイマー型認知症と高血圧症。家族より、お婆さんが失禁した紙パンツをなかなか交換してくれない、どうすればいいのか?と相談が有りました。失禁したリハビリパンツを外の竿に干したり、家族が注意すると干せば乾くし又使えると答え、もったいないよと怒ったように言うそうです。また、衣類やパンツの交換をしないからという理由で、デイに行く日は朝から喧嘩になってしまうとのこと。
そこで、デイに来る日は入浴も有りますので、入浴後に着替えますから、無理に着替える事はないと伝えました。

特に、大正や昭和初期の生まれの方は、物を大切にする傾向があります。ですから、本来使い捨てのリハビリパンツも捨てるのがもったいないと思う方はいます。乾かせばまだはける、少し濡れてもまだまだはけると思う方が多くいます。お婆さんのお部屋に、ただリハビリパンツを置いてもなかなか着替える事は困難だと思います。今日は天気も良いから着替えて洗濯しない?などと、イライラしないで交換できたら良いですね。
定期的にデイサービスを利用している方であれば、入浴時に交換をお願いするのも良い方法だと思います。お風呂に入り、さっぱりとして気持ちが良いことはしっかり分かっていますので、拒否されることは少ないです。
干したリハビリパンツは、ご本人がいない時に片付けて、乾いたからここに置いて置くねと、新しいリハビリパンツを置いておくのも良いと思います。本人の自尊心を傷つけないようにする配慮が大切だと思います。

まずは同調してあげること

80代女性、アルツハイマー型認知症と診断され3年目。娘様と住んでいる方の事例を紹介します。

家に居る時に家族が、機嫌良く話し掛けるが怒り出したり、時に物を投げてきたりするが、デイサービスに迷惑かける事は有りませんか?と相談がありました。デイサービス利用中は常に、お手伝いない?何かする事ない?じっとしているのが嫌なの、何でもやらせてと言われ、お手伝いやリハビリ、レクリエーションにも積極的に参加され、他の利用者様にも優しく、怒ることはなく穏やかな方です。認知症のため、同じ話を繰り返すことは多くありましたが、問題行動に繋がることはありませんでした。
デイサービスから帰ってくると、何で私がデイサービスに行かなければいけないの?家でやる事が沢山あるのに、もう行かないと物を投げ、怒り出してしまうそうです。そういった場合、御本人がもう行かないと言ったら、「そうだね、もう行かないで良いよ、家に居ようね」と、本人が言った事を繰り返して話してみてください。認知症の方は、否定されることで、気持ちが余計に不安定になり、認知症の症状を強くする恐れがありますので、まずは同調してあげることが大切です。
「デイサービスに行かないと困る」など家族の気持ちを押し付けすぎるとかえって外に出る機会を失う可能性があります。気持ちが落ち着いている時に、デイサービスに行って楽しかったことなどを話してもらえると良いと思います。
今回のケースの方は、その後休まずにデイサービスを利用されてます。

どうしたら失敗せず、トイレで排泄が出来るか

80代女性でアルツハイマー型認知症と診断。
自宅ではお一人で排泄が上手くできず、リハビリパンツを一日に2〜3回交換していると聞く。どうしたら失敗せず、トイレで排泄が出来るかと相談を受けたケースです。

まずデイサービスでは、1時間に1回声掛け誘導をしました。具体的には、声掛けしズボンのカギホックを外し、ズボン、リハビリパンツを下げるお手伝い、便座に座る行為をゆっくり一つひとつ声掛けやジェスチャーで行い、リハビリパンツが汚れていないかを確認し、排泄を促します。
その時、急がせないようにすることが、ポイントです。排尿があると御本人様も自覚があり、出たねと嬉しそうな顔をされます。ウォシュレットで洗い、ペーパーを渡しここ拭いてとジェスチャーで指示、次はパンツを上げて、次はズボンを上げてと声掛けをすることで、ほとんどご自身で行えます。カギホックはお手伝いさせてもらいました。
ご家族の方に、ズボンは少し緩めでゴムのズボンだと良いのではとお話しさせて頂きました。尿意がなくても時間でトイレ誘導し、排泄があれば気持ち良いと思います。
ズボンのホックがうまく外せず、間に合わなくて失敗してしまう方が多く見られます。履きやすいズボンだと、自立排泄につながりやすいと思います。常に清潔にして尿路感染症にならないように気を付けましょう。

行動には意味がある

80代後半の女性でアルツハイマー型認知症の事例です。
早朝に交番から連絡があったり、近所の方が帰り方が分からなくなったところを助けて連れて来てくれたりすることが多く、家から出掛けた事が分かるにはどうしたら良いかと相談を受けました。転倒して、顔から血を流している事もあり家族も心配が絶えない様子でした。

デイに見えた時に、朝早くに何処に出掛けていました?と聞くと、あそこで集まりがあると聞いたからと答えられました。本人の中で、目的があるから出掛けたんですね。数ヶ月前には自分で行けたし、戻って来れたそうですから。

まず家族が寝ている間は出て行かない様に、玄関の鍵を上の方に追加で付けて様子を見ると、玄関でガチャガチャと開けようとする行為が続きました。娘さんは朝食の時間を少し早めにし、一人でいる時間を短くし、後はデイサービスで早めにお迎えに行くようにしました。

家族の方は、本人が一人でいる時間を短くし、外に出たい理由をきちんと聞いてあげる。デイサービスでは、日中の活動量を増やすことで、早朝の徘徊と言われる行動が改善されたケースです。徘徊というと、意味が分からず勝手に外へ出て行ってしまうイメージがありますが、行動には意味があることが多いです。まずは、本人の行動に寄り添うことが大切かと思います。

浴槽に入るのが怖い

70代後半の女性。夫と2人暮らしで、アルツハイマー型認知症と診断。
浴槽に入る事が理解出来なくて困ると相談があったケースです。衣類の着脱、身体や頭のシャンプーは声掛けとジェスチャーにより何とか行えるが、浴槽に入るには怖いと訴えがありました。

そこで、まずは、浴槽に並行に椅子を置いて、片足ずつ浴槽内に入る方法を選択。まずは、職員と向き合い、片手は手すり、もう片手は職員につかまり、一つひとつ手順を踏んで行っていきました。

実際に行うと、怖いと言う言葉はなく安心して入る事ができ、浴槽内に座りリラックスしてもらうことができました。職員は湯船の中の利用者様とにこやかに顔を見て童謡を歌い、安心感を持ってもらえるように心がけました。お風呂は滑りやすく、恐怖心を持つ方も多いです。ゆっくりと一つひとつの手順を確認しながら行うと良いと思います。

まずは不安な気持ちに寄り添う

80代女性でアルツハイマー型認知症と診断。
自宅で同じ事を何回も何回も聞いてくるので、家族から怒れてしまう。この様な方のケースを紹介します。
デイサービスでも同様に、同じ話を何回もされます。
「バック忘れたかな?」
「玄関の鍵しめたかな?」
「明日は来る?」
その場で急に気になることを何回を何回も聞かれるこで、ずっと一緒にいる家族の方は大変だと思います。私たちはその都度、玄関の鍵は職員と確認しましたよ。持ち物はここに有りますよ。次はいつ来る?という質問に対しては、今日が月曜日なので、次は水曜日ですよ。と、丁寧に答えるようにします。気持ちが不安な時に、同じ事を何度も聞くことが多いですから、まずは不安な気持ちに寄り添うように関わってもらうと良いと思います。

共感する対応が大切

80代の女性。アルツハイマー型認知症と診断され服薬で様子を見ていたが、天井に虫がいる、食事の中に何か入っているなどと訴える事が多いと相談されたケースです。
デイサービスでも、朝お出しするお茶に何か入っているから嫌だと言うことが多くある為、目の前で同席者の方たちの分も一緒に入れ、好きなお茶を取って頂くようにすると納得され飲んで下さいます。
自宅ではご本人様が、何々が見えるから怖いと訴えがある時には、怖いよね、嫌だよねと共感する対応が大切です。決して、「そんなのいないよ!見えないよ!」と否定はしないでください。
この方は、当初アルツハイマー型認知症と診断されていましたが、途中からレビー小体性認知症と診断され、服薬を変更する事で症状が落ち着いてきました。服薬もとても大切になりますので、あった出来事を主治医の先生にこまめに相談することも大切です。

リハビリパンツのご相談

80代女性、娘様夫婦と暮らしている。2年前にアルツハイマー型認知症と診断された方のケースです。
最近、尿失禁が多くなり、リハビリパンツから尿が漏れてしまい、ズボンまで濡れる事が多くなっているとのこと。今使用しているリハビリパンツを、もっと厚手のものに変えた方が良いか相談されました。
デイではご本人様がトイレに行った時間の確認と、行かれてない時間には声掛けをしていますので、今使用されているリハビリパンツで漏れることはありませんでした。
尿量が多く吸収できるリハビリパンツですと、濡れたという感覚が伝わり難いため、まだ大丈夫だからとトイレに行かなく不潔になることもあります。パットを付ける方法も有りますが、自宅では流してしまう事があるので注意が必要です。まずは、食事の前、お風呂の前など、移動するタイミングでトイレにお誘いすると良いかと思います。
まずは、トイレで排泄すると気持ちが良いということを感じてもらえるようにしていきましょう。

着替えが出来なくなった

80代女性でアルツハイマー型認知症と診断された方のケースです。
3ヶ月前までは、家族が洋服を出し着替えておいてねと声を描けると、分かったと答え着替えていたそうです。最近は、何度も声掛けするが、着替えも出来なくなったと相談がありました。ご本人様も洋服を着たいのになぜ?と家族の方も悩んでいました。

デイサービス利用時、入浴前に少し声掛けすることで、脱ぐ行為はできましたが、入浴後は声掛けしただけでは、下着やシャツはご自分から着ることは困難でした。そこで、ぴったりのシャツより少し大きめにしたり、被る下着シャツではなく、腕を通し前でマジックテープで止める物など、着やすい服に替えてみました。また、少し大変かと思いますが衣類を着る時には、一緒にお話ししながら、衣類を着てもらうことでスムーズに着衣ができました。
家庭での介助のポイントとして、「はい、ここに腕を通しましょう」と優しく声をかけて下さい。決してこんな事も出来なくなって、手がかかり大変だとは言わないで下さい。
ご自分でも、今までできたことができなくなり悩まれていますから、自尊心を傷つけないようにしましょう。

自転車に乗るのを止めさせたい

80代女性、娘様夫婦と同居。1年程前に、アルツハイマー型認知症と診断された方のケースです。
どこへ行くにも自転車に乗って移動する方でしたが、自転車での走行中に転倒し、恥骨骨折で入院されました。以前から、ご家族様は自転車に乗るのを心配していましたが、これをきっかけに、自転車に乗るのを止めさせたいと相談がありました。
認知症のため、自転車で転倒したことや、怪我をして痛かったことは、忘れてしまいますが、理解している部分も沢山あります。ですから、認知症ケア専門士からご家族様へのアドバイスとして、「話も聞かず自転車や鍵を隠すのではなく、どうして自転車に乗りたいのか、ゆっくり話を聞いてみて下さい」とお願いをしました。すると、ご本人様は「歩くより楽、どこにでも行けるから」と本音を話して下さったそうです。娘様が「自転車に乗りながらの転倒は大怪我をすることもあるし、大事なお母さんだからとても心配しているんだよ」と気持ちを伝えたことで、ご本人も納得して下さいました。その後、デイサービスの利用回数も増え、楽しみも増えたことで、自転車から自然と遠のいた事例です。

家族の希望や困りごとを知る大切さ

80代後半の女性でアルツハイマー型認知症と診断されて数年。娘様夫婦と暮らしてる方のケースです。
デイサービスには週3回利用されていました。
利用日は、午前に歩行訓練(散歩)に外を歩いていました。ところが、半年ほど経ったある日、家族より、歩くのは良いけどお婆ちゃんが元気になったと思い込み、自宅から散歩に出掛けて自宅に戻る事が出来なく、近所の方に迷惑をかけたので散歩は困ると相談されました。
私達職員は考えさせられました。
「足が良くなることは良いこと」と思って行っていたことが、逆に家族へ心配をかけてしまうことになってしまったと。
デイ利用日に送って行く時には、一人で出掛けないで下さいねと何回も説明させて頂きました。
事前のアセスメントだけでなく、定期的に本人様の希望だけでなく、家族の希望や困りごとを知る大切さを、このケースを通じて学びました。

自分で買い物ができない

80代後半の女性で独り暮らし、アルツハイマー型認知症と診断されている方のケースです。市内に娘様夫婦が住み週1回訪問に来て、本人の欲しい物など日用品を購入しています。
デイ利用中、他の利用者様に、食べたいものや欲しい物が、自分で買いにいくことができないと、お話しされている事が何回もありました。そこで、デイ利用中に、屋外歩行訓練目的で、買い物に出掛けることを家族に提案し、買い物にお誘いしました。千円程度を持参してもらい、他の利用者様と嬉しそうに、お話をしながら買い物を楽しまれていました。
2ヶ月に1度程参加していましたが、しばらく経ってご家族より、お買い物の時に、自分で支払う事が出来るのは良いけど、余分な物を買ってくるし、買った食品が残ってしまうから、これからは行かなくて良いですと言われました。
利用者様も買い物ができず、少し元気をなくした時期もありましたが、デイで使う物の買い物のお手伝いをして頂くことで元気を取り戻しました。
前回と同じで家族に了解を得て行った事ですが、ただ要らない物まで購入してしまい、家族に心配ごとを増やしてしまったケースでした。本人様の希望と家族様の希望を常に確認し、支援内容を見直す必要がありますね。

住み慣れた自宅に帰りたい

県外に独り暮らしの80代女性Aさん。5年前から認知症と診断されていたが、服薬で安定している。今後の事を考え、娘様の住む地元に引っ越しをした時のケースです。
一緒に住むことで、火の始末や服薬管理など家族としても安心することが増えましたが、Aさんから、家に荷物を置きぱっなしで迷惑だから、早く取りに行きたいと言われ、その度に説明しても理解できないのでどうしたら良いだろうかと相談を受けました。最終的に、Aさんは、住み慣れた自宅に帰りたいという気持ちが強く、一人暮らしを続けています。
年老いた親の事を考えると、近くに呼び寄せたい思いが生まれると思います。しかし、多くの高齢者の方は地元が良いからと、引っ越しを拒まれることが多いと聞きます。コロナ禍が続き、すぐに会いに行けない状態が続き大変な時期ですが、ケアマネージャーさんやヘルパーさんを頼ったり、デイサービスを利用される事も良いと思います。
久しぶりに会った時は、優しく抱き締めて、不安に寄り添ってあげるのも良いかと思います。

免許を返納してほしい

80代後半の独居の方。近くに家族が住んでおり、毎日仕事帰りに寄り、様子を見てる方のケースです。
高齢になっても運転を続けており、車には傷があちこちにできていたそうです。車の運転を辞める様に何回も注意していたが、出掛けてしまうのでどうしたらいいかと相談がありました。
鍵を隠しても探したり、家族が夕方寄ると怒り出す事が多く、「自分は大丈夫だから」と言って、運転をやめようとしない。職員が間に入り、なぜいつまでも運転をしたいのか、じっくり聞くと、「自分の出来る事はなるべくやりたい」「息子たちに迷惑かけたくない」と話されました。
事故を起こしたらそれこそ取り返しがつかない事になり、家族に迷惑になると説明しました。また、買い物には家族も一緒に行ってくれると言っているし、時々は行きたい所にも乗せて行くと、本人と家族で約束事を決めました。それでも、自分はまだ大丈夫だと暫く話していましたが、繰り返し家族が説明をすることで、やっと免許を返納してくれることになりました。返納するのに3ヶ月程かかりました。家族の方が以前より気にかけ、訪問時間を延ばしたことで、車を使わなくなった現在も、安心して生活されています。

皮膚疾患に注意

80代の女性、アルツハイマー型認知症と診断されていた方のケースです。
デイサービス利用中、トイレ介助に入った際に鼠径部が赤くただれていることが分かりました。鼠径部だけでなく、乳房の下が痒いと言われたので、見てみると赤くただれていました。
デイサービスにて入浴介助も開始となり、週2回入浴時に鼠径部と乳房の下を綺麗に洗い、しっかり乾燥させた上で持参の薬を塗ることで皮膚疾患も改善されました。
これから暑くなると皮膚疾患の方が増えてきます。ご自分で痛い、痒いが上手く伝える事が困難な方も多いですので、注意が必要です。その場合、排泄や入浴のタイミングで気を付けて観察することが大切です。そして、皮膚疾患が分かったら直ぐに病院受診や薬の塗布など行うことで、早くに症状が改善されるケースがほとんどです。
デイサービス、家族、ケアマネージャーさんなど関係者の連携が本当に必要だと、今回のケースを通して感じました。

役割があるということ

自宅で家族が知らないうちに外に出てしまい、困ってしまうと相談されたケースです。
デイサービスでの様子ですが、タオルたたみや洗い物など、何かしている時は落ち着いていましたが、何もやる事がないと、荷物の確認や「次いつ来てもいいの?」と何度も同じことを聞く様子が見られました。
ある時、隣の利用者様が、「私は○○から来たけど・・・」とお話しされ、不安な様子が見られると「大丈夫だよ。私は○○だよ、一緒に居るからね。」と優しく話し掛けて下さった所、安心された様子で笑顔も出るようになりました。職員が同じ対応しても落ち着かなかった利用者様でしたが、その方の接し方、声のトーンが安心されたのか、一日中穏やかに過ごされました。ご利用者様の力って大きいですよね。
その後、相談者の方もデイサービス内で自分の役割が生まれ居場所ができたことで、落ち着いて過ごされるようになりました。また、自宅でも出来ることが増え、役割が生まれたことで、勝手に外に出てしまうこともなくなったそうです。
簡単なことでも良いので、自宅内で任せることを見つけてみてください。そして、やってくれたことに対してほめてあげて下さい。以前にもお話しさせて頂きましたが、何か一つでも良いので、まだ自分にも出来ると思う役割があるということが大切だと思います。

物忘れなのか?認知症なのか?

80代後半の女性で独居、最近までは一人で家のことができていたので、時々近くに住む息子様夫婦が時々行って様子を見ることで困ることはありませんでした。しかし、最近になり、物忘れが多くなり心配だと相談がありました。
相談を受けるのと同じくらいのタイミングで、デイサービスのお迎え時間に伺っても寝ている事が多くなり心配していたところでした。デイサービス利用時には、御本人様も「最近忘れっぽくてだめだね」と、お話しされることも多くあり自信をなくしていました。そこで、まずデイサービスの迎え時間を当日連絡するようにしました。30分後という表現ではなく、何時何分に伺いますと伝え、本人様にはっきりと解るように工夫しました。また、利用者様が忘れやすいと話された時には、「大丈夫ですよ。不安なことがあれば、いつでも相談してくださいね。」と目線を合わせ優しい笑顔で答えてあげると安心されました。そういった際、「忘れたの?」など傷つけることはやめたいですね。安心する声掛けが大切です。
物忘れなのか?認知症なのか?判断がつかないケースが多くあります。最近は、物忘れ外来や、認知症外来といった専門で診てくれる病院も増えています。心配な時は、一度主治医の先生や専門の病院に相談すると良いと思います。

自分らしく安心して暮らしていけるように

80代後半で独り暮らしの女性です。
認知症と診断はされていますが、日常的な事は自分一人でなんとか出来ている。同じ市内に子供たちが住んでおり、病院受診等、必要な時はサポートしているというケースです。
子供たちには迷惑掛けられないと普段話されますが、やはり関りがあると嬉しい様子。この方に限らず、家族が気にかけてくれるのは嬉しいですよね。
忙しい時は電話でも良いと思いますので、「調子はどう?」と、こまめに連絡をしてあげると良いと思います。訪問のヘルバーサービスや通いのデイサービスなど、日々の見守りや生活のサポートなど、家族の方に代わって支援するサービスを上手く取り入れて、住み慣れた場所でその人らしく安心して暮らしていけるように、一緒に考えていきましょう。

排泄時に衣類を汚してしまう

Cさん 80代半ばの女性で娘様夫婦と暮らしています。
最近トイレを汚す事が多く、衣類が臭くどうしたら良いかと相談があったケースです。
デイサービス利用時に様子を見ていると、何回かトイレに行き、排泄がしっかりできている様子でした。しかし、入浴時にズボンが湿っており、少し臭いがしていることが多くみられました。Cさんは利用開始されたばかりで、信頼関係がまだできていない状態でしたから、トイレ介助に入られることに対して抵抗感がありました。そこで、まずはトイレに行った時に、「何かお手伝いする事がありませんか?」と声掛けをし、徐々に「一緒に中に入っても良いですか?」と聞き、ズボンの上げ下げのお手伝いをするようにしました。何度か介助に入っている内に、下着の上にトイレットペーパーが多量に挟んであり、ケアパット代わり使われていることが分かりました。
パットの代わりにトイレットペーパーを使われる方は結構いらっしゃいます。しかし、濡れたトイレットペーパーが陰部に残り衛生的にあまり良くありません。Cさんには、ケアパットを付け、トイレに行った時に様子を見させて下さいとお話をしました。最初は自分で出来るからとお断りがありましたが、少しずつ介入することができ、ケアパット対応が出来る様になり、ズボンまで染み込むことは無くなりました。
トイレ介助は非常にデリケートな問題です。自尊心を傷つけないように焦らず介入をしていくことが大切ですね。

自宅で会話が少なくなった

90歳代女性で息子様夫婦と住んでおり、アルツハイマー型認知症と診断されている方のケースです。
自宅で会話が少なく、家族が声を掛けても会話がないと心配し、デイサービスに家族の方と一緒に見学に見えて相談を受けました。
雰囲気が気に入って頂けた様子で、まずは週2回デイサービスを利用することになりました。
最初は職員が間に入り会話をしてましたが、好きな歌や、集団でのレクリエーションゲームにも嬉しそうに参加され、周りの方との交流も徐々に増えていきました。半月程でご自分の居場所もでき、自宅に帰ると「今日は何々をやり楽しかった」とお話される事が多くなったと聞きました。
又、カレンダーの色塗り、新聞紙を読む事など出来る事が多くなりました。
週2回利用から、希望で3回となりました。家族からも、もっと早く相談すれば良かったと言って頂くことができました。
一人暮らしの方に限らず、会話が減ってきている方は、自宅以外(デイサービスに限らず地域の集まりでも良いと思います)でも居場所作りができると、良いですね。デイサービスでは、利用者様が安心できるよう、優しく、目線を合わせて声掛けすることを大切にしています。

一人ひとりの生き甲斐を尊重する

独居で90代女性、認知症と診断されている方のケースです。
一人暮しは心配ということで、同じ市内に住む娘様の家に引っ越しをすることになりました。しかし、畑が心配と落ち着かず家に帰ると言い張り、仕方なく娘様が送って行くと、直ぐに畑に行き意気揚々と水撒きや草取りを始めたそうです。そして、デイサービスに行くのも楽しいけど、畑で大根、菜っ葉など作って近所の人に配って食べてもらうのが生き甲斐と話され、娘の所に行っても何にもやることがないから、もう少し今の家にいるとはっきりと話されたそうです。
認知症と診断されても、何も分からなくなった訳ではなく、自分で何かを作り、子供達や近所など知り合いに配り食べて頂く喜び、「ありがとう、美味しかった」と感謝の言葉がはげみになっていることが分かりました。そこで、子供達が交代で様子を見に行き、お母さんと一緒に野菜作りをしたり、時には、一緒に食事をし、泊まるなどして関りを持つようにしたそうです。子供達が顔を出すことで近所の方も安心し様子を見てくれるようになりました。
家族の方は日中仕事をされていますので、デイサービスとヘルパーさんで見守りや服薬管理などを行い、健康に過ごせるよう支援をしています。
今回の事例では、一人ひとりの生き甲斐や遣り甲斐、そして、家族の方を含め皆で関りを持つ大切さを学びました。

病院受診に付き添いたい

80代女性で独居、1年前にアルツハイマー型認知症診断されているが、どうにか自分の事は出来ている方の事例です。
お嫁様から、今まで病院受診も一人で行っていたが、今の状態やお薬のことなど様子が分からないので、一度付き添いしたいのだけど、どうしたらとよいかと相談を受けました。
コロナワクチン注射など受けに行かれる際に、心配だから今回は一緒行きますね、と優しくお話しし、また、待合室でも隣に座りお孫さんの話などすると嬉しいと思います。と伝えました。また、診察室に一緒に入り医師の説明を聞く時に、肩をポンポン優しくたたき、私も居るから大丈夫と安心させると良いとも伝えました。
私自身の経験ですが、医院の待合室で少し離れた所に座り、会話もなく診察室で呼ばれて一緒に入り、終わるとまた離れて座り、会話もない光景を良く目にしますが、寂しく思います。やはり一緒に医師の説明を聞き、私達はいつも側に居るから大丈夫と伝え、安心感を与えると共に、「お義母さん今まで1人で来られて凄いね。」と褒めて認めてあげることが大事ですね。
相談されたお嫁様は、時々顔を出して何かに困る事はない?などと、意識して係わりを持つようにしていました。そうすることで、お義母様も近所やデイでも「お嫁様が良くしてくれる。」と笑顔が多くなりました。

服薬を拒否

80代女性。息子様夫婦と3人暮らし。アルツハイマー型認知症と診断されている方のケースです。お嫁様から、薬を飲まなくて困ると相談されました。
デイサービス利用日は、薬を持参してもらい、デイサービス到着後服薬してもらうことになっていました。初めの頃は問題なく服薬できていましたが、段々と拒否が見られるようになり、次第に、薬を持参されないようになりました。
ゆっくりお茶を飲みながら話を伺うと、薬を飲まないと病気が良くならないし、次に受診した時、お医者さんに息子夫婦が怒られるのも分かっているが、薬がまずいから嫌だとのこと。朝ごはんを食べずに薬を飲むと、気持ち悪くなるとも言われました。
そこで、デイサービス到着後に、一口大のおにぎりを2個食べてから服薬して頂きました。すると、拒否なく服薬してもらうことができました。しかし、週2回の利用日朝のみの服用でしたから、数値は変わりなかったようです。
担当者会議を開催し、家族の方にも朝食の用意ですとか、薬が飲みやすくなるゼリーなどの準備をお願いし、服薬できる日を増やすように取り組みました。
服薬はとても大切だと思いますので、なぜ服薬できていないのか?という原因をしっかり把握すること、そして家族の方と連携をし、服薬の管理が出来るように服用のタイミングを決めていけると良いと思います。

畑仕事がしたい

80代後半の男性で認知症と診断され服薬中、息子様夫婦、お孫さんとの5人暮らしの方のケースです。
80代前半まで家業である農家の仕事を行っていました。息子様が後を引き継いでから、お父さんを気遣い「ここはいいから家に入っていて、大変だから、危ないからいいから」と仕事から遠ざけたが、それでも畑に出てくるので段々息子様が大声を出してしまう事が多くなってしまったそうです。また、嫁いだ娘様がたまに遊びに来ると、お父さんから「何にもやらせてくれない、まだまだできるのに」「嫁からは外に出て散歩をしようとすると、転ぶと危ないから1人では出ないで」と言われると、元気がない様子とのこと。足腰の筋力低下も心配があり、どうしたら良いかと娘様より相談を受けました。
娘様からすると、実家を守り父親の介護をしてくれているお兄さん夫妻には強くは言えず、「父親はまだまだ畑仕事をやりたいらしいね」と話すと、「出来ると本人は思っているが、無理だよ。だけど父親の気持ちも少しは解るから」と理解を示してくれました。それから、息子様が少し離れた場所から見守りながら、自宅前の畑の一角に、好きな野菜を育ててみることになりました。
安心できる場所で、自分の役割を見守ってくれている息子様からの安心感で嬉しい様子。息子様と一緒に種を買いに行き、父親の意見をしっかりと聞き優しく接してくれた事を喜んでいたと聞いてます。

家族の方への伝え方

今回の事例は、以前に私たちが取組みの中で、失敗してしまった内容です。
70代後半の女性。アルツハイマー型認知症と2年前に診断されている。娘様夫婦と暮らしている方のケースです。
日中、家では何もやることがなく無気力で過ごされているため、デイサービスを利用して、同年代の方と会話やレクリエーションを楽しんで欲しいと、家族の方の希望がありデイサービス利用が開始となりました。
以前は、家族の方にデイサービスでの様子が伝わるよう、連絡帳にその日にあったことを細かく記載していました。その記載内容が、デイサービス内での問題行動も含めて記載してしまっていたため、家族の方は迷惑を掛けていると感じてしまい、辞めた方が良いかと相談を受けました。本人様が頑張っても出来ないこと、家族の方が読んで気分が悪くなること、家族の方が心配される事は記入せず、逆に「こんな事ができました。他の利用者様に優しくして下さいました。」など、今できていることに注目して記入するように改善しました。
また、問題行動が家庭で介護をする上で影響が出ると思われた場合には、直接連絡をして相談するようにしました。手紙で伝えるのと言葉で伝えるのでは、伝わり方に違いがありますよね。手紙で伝える難しさを感じた事例でした。

入浴拒否

90代男性でアルツハイマー型認知症と診断、娘様夫婦と暮らしている方のケースです。
夜、お風呂に入るように声かけしても、面倒なのか、なかなか入らないことが多くなり、どうしたら良いかと相談を受けました。
自宅で何回も「お風呂に入りな。」と声をかけると、「うるさい、後で入るから。」と言い、結局入らない日が続きました。すると家族も「おじいちゃん臭いよ、お風呂に入らないから匂う」など言ってしまい、険悪な状態になってしまったそうです。
そこで、まずはデイサービスで入浴をしてもらい、お風呂に入ることの「どこ?」に面倒を感じているか確認することにしました。お風呂に入るという行為を細かく見ていくと、洋服を脱ぐ、体を洗う、湯に浸かる、体を拭く、服を着るなど、沢山やることがあります。この方は、洋服を着る順番が分からなくなってきたことで、お風呂に入ること自体が面倒になっていることが分かりました。服を着る動作自体はご自身でもできる方でしたから、お風呂へ入る前に、着る順番に服や下着を一緒に用意することで、服を着る行為に対する面倒が解消されました。
ご自宅でも服の準備を一緒に家族の方が手伝ってあげることで、拒否なく入浴することができるようになったそうです。お風呂に入る動作のどこが大変なのか?分からなくなっていることがないか?を見てあげると良いと思います。

介護サービスを上手に活用する

90代女性で娘様と二人暮らし、5年程前までは、家事は全て行っていたそうですが、何度も同じ事を話すようになりました。料理の味付けが急に濃くなったなど、今までと違う様子が見られたため、姉妹で話し合い、病院受診しアルツハイマー型認知症と診断されたケースです。
認知症が進行することが不安なため、これからどうしたら良いかと相談を受けました。
まずは週1回デイサービスを利用し、人と交流する機会を作りました。デイサービスでも気の合う方もでき、歌などのレクリエーションも楽しんでいました。しかし、アルツハイマー型認知症が次第に進行することで、夜間トイレに行き転倒する事が多くなりました。娘様から「仕事に集中出来ないし、介護で疲れちゃう。家にいる時じっとしてないし、本当に困ってしまう。どうしたら良いのか?」と相談を受けました。そこで、担当のケアマネジャーさんに相談し、ショートステイを利用することになりました。
介護をするご家族様自身の時間確保のためにも、上手にショートステイを利用したり、デイサービスやヘルパーさんを併用して利用していくことが大事だと思います。私たちも送迎でご家族様にお会いする際や、電話でお話をする際は、いつもと変わりないか、介護疲れをしていないか、気を配り対応していきたいと思います。

認知症の方の熱中症リスク

80代女性で独居。アルツハイマー型認知症と診断された方のケースです。
夏の暑い日に娘が様子を見に行くと、窓は閉めてありエアコンも入れず、洋服も厚着で過ごされていました。声を掛けると曖昧な返事で、いつもと様子が違うので病院受診すると熱中症と診断されました。軽症の為そのまま自宅に戻ったが、今後どうしたら良いか相談を受けました。
デイサービスがある日は、朝の迎え時にエアコンを切り、送りの時にエアコンをつける。送りの際には、水分を冷蔵庫から出し宅配のお弁当を準備。しっかり水分を摂り、お弁当も食べるように声掛けする。デイサービスへ行かない日は、ヘルパーさんと家族が訪問するようになりました。
高齢者になると体温調節機能が低下しやすく、暑さや寒さも感じにくくなります。認知症の方は特に、暑いのに何枚も重ね着をする、水分摂取がうまくできないなど、熱中症のリスクが高まります。これから暑い日が続きますので、関係者の方で対策を考えていきましょう。

地域のS型デイサービスを提案

最近物忘れが多くなり、時々顔を出してくれる息子から何回も同じ事を言うと言われた。また、聞いた内容をカレンダーへ忘れないように書くように注意される事が多く悩んでいると、ご本人から相談を受けました。私が相談話を受けている短時間に、同じ話が3回繰り返しありました。
ご自身も、もの忘れや認知症に対して不安があるようでしたので、まずは主治医に相談してもらうように伝えました。また、最近外出の機会が減っているというお話を聞きましたので、地域のS型デイサービスに行ってみることを勧めました。
今後の受診の結果により、住んでいる場所の近くにある「地域包括支援センター」を紹介したいと考えています。
介護保険や地域の行政サービスについて、どんな活動をしている所か、どの様な支援を受けることができるのか分からない方が多くいらっしゃると思います。まずは家族や病院、地域にある相談窓口へ相談してもらうと良いと思います。

※S型デイサービス:在宅の高齢者を対象に、集会所や公民館など地域の身近な場所で、地域住民のボランティアにより行われる、介護要望を目的としたサロン活動です。参加者(高齢者)と住民ボランティアが、月2回集まり、健康体操やレクリエーション、会食などを一緒に楽しみます。

尿意や便意がなくなるケース

80代女性で息子様家族と暮らしている。アルツハイマー型認知症と診断されたタイミングと同じくして、尿意、便意が無くなったという方のケースです。リハビリパンツとパットをするようにしているが、主治医より気を付けないと腎盂炎、尿路感染に掛かりやすいからと言われたそうです。自宅では、家族がいればトイレに連れて行くようにしているそうです。
デイサービスを利用するようになり、「トイレが空きましたので、行きませんか?」と声をかけ、最初は拒否が強く上手く誘導できない時もありましたが、ご本人様のプライバシーに配慮し、少しずつできない部分をお手伝いさせてもらうようにしました。排泄介助は、プライバシーに気を付けなくてはいけない重要な部分です。不安な気持ちが落ち着くように寄り添うのが良いと思います。決して焦らない、相手のペースに合わせることが大切です。
加齢や病気、入院等をきっかけにして、尿意や便意がなくなるケースがあります。認知症の方の場合、尿意や便意が曖昧で、うまく人に伝えられない方もいます。その場合は、尿や便が出やすい時間帯を把握することや、尿意や便意を感じた時に起こる「ちょっとした仕草」を見逃さないようにする観察力が必要になります。「足をもぞもぞさせる」「きょろきょろする」など、人により仕草に違いがありますので、注意して観察をしてみてください。

要介護1で一人暮らしの方への支援

90代女性、過去に病院受診した際にアルツハイマー型認知症と診断されていましたが、介護保険を申請せず、お一人暮らしを続けていた方のケースです。
久しぶりに家族の方が母親の所に行くと、隣近所の方から最近元気がなく会話もおかしいよと言われたそうです。また、以前はまめに洗濯をしていましたが、洗濯機の周りの衣類も洗ったものか分からない状態になっていたそうです。
家族で相談して、1週間おきに交互に顔を出すようにしました。長男が顔を出すと長男の食事の心配したり、洗い物もやっていると聞きますが、娘が顔を出してもぼーとしている事が多く、このまま一人暮らしを続けさせてよいものか判断に迷いました。娘様は自分の所に来て欲しいと話しもしたそうですが、最初は良いねと言いますが納得はしないそうです。
普段一人でいることが多く、会話も少なくなってきているのが元気がない原因かもしれないと考え、役所や近くの居宅介護支援事業所に連絡し、人との繋がりを作ることや、家族では支援しきれない日常生活の支援のために介護保険の申請をしてみてはどうかと話をしました。
介護保険申請の結果、要介護1の認定が下りケアマネージャーさんと相談し、週2回デイサービス、週2回訪問介護を利用しはじめました。以前より少し表情も明るくなったと聞きます。長男も娘も変わりなく顔を出していると聞きます。
介護認定を受ける前から使えるS型デイサービスや、ボランティアの支援もあります。介護保険の仕組みも複雑なところがあり、初めての方には分かり難いことがあるかと思います、気になることがあれば、早めに相談するのが良いと思います。

排泄介助を行う際、事前確認を行う3つのポイント

90代男性で息子様と二人暮らし。アルツハイマー型認知症と診断されていた方のケースです。
一人でトイレに行ける方ですが、数ヶ月前からお父様の部屋やトイレに、便汚れが目立つようになってきたと相談を受けました。特に、便座、ペーパーホルダー、手すりに便が付着している事が多いそうです。
デイサービス利用中、トイレ内に介助に入らせてもらえる方であれば様子をつかみやすいのですが、今回のケースの方は入ることができないため、まずは外から様子を伺うようにしました。トイレに行かれた時間が長い時や、昼食後は特に気に掛けて様子を見ました。排便後に「便が出たようで良かったですね、スッキリされたでしょう。」「一人で不安にならないように、お手伝いさせて下さい。」と丁寧に声掛けをすることで信頼関係を深めていきました。徐々にトイレ介助に入らせてもらうことができ、便座やパンツ、手に付いた汚れを自分で何とかしなければと思い、汚れを拡げてしまっていることが分かりました。

以下、私たちが排泄介助を行う際に事前確認を行う3つのポイントとなります。
・排尿、排便コントロールができているか(尿意、便意があり一人でトイレに行くことができるか)。
・排便コントロールにお薬を使用しているか(便を柔らかくするお薬を服薬している。便秘を解消するお薬を服用、もしくは座薬をしようしている)。
・排泄後の処理動作がどこまで理解できているか(トイレットペーパーを巻き取る、拭く、流す、ズボンを上げるなど)。ここの部分は動作を細かく分析する必要があります。

細かく排泄動作を確認することで問題解決できるケースが多いです。困った時は、ケアマネージャーさんやサービス事業(ヘルパーさんや、デイサービス職員など)にご相談ください。

着替えの対応と声掛け

80代女性、3年程前にアルツハイマー型認知症と診断を受け、娘様と暮らしている方のケースです。
娘様が寝る前にパジャマに着替える様に手渡すと、洋服の上に着て寝てしまうので注意すると、怒ってしまうのでそのままにするが、どうしたら良いのかと相談を受けました。また、寒い日に薄着であったり、暑い日に重ね着したり、体温調整が難しくなってきているとのことでした。
高齢になると暑い寒いが感じにくくなり、季節に合った洋服を着るのが大変になる方が多いですね。
今回のケースでは、まず、下着やシャツ、ズボン下は体にあったものを着る事が大事だとお話ししました。そして、デイサービスで入浴される時に、「今日は暖かくなるみたいですので、下着パンツとズボン下とズボンで良いですか?」「上は、下着シャツとブラウスとカーディガンで良いですか?」と具体的に声掛けし、順番に衣類を手渡し着てもらうようにしました。その時に、「とっても素敵でお似合いですね。」と声掛けすると、相手の方も喜んでくれました。
私が介護に携わっている中で、上が8枚、下が9枚着用していた方がいました。この方も体にあった下着を着用することで厚着がなくなりました。
冬場の服装のポイントは、3つの首(首、手首、足首)を温めることです。着替える部屋を暖かくすることも大切ですね。

食事をしたのに忘れる

今回も、以前に食事の相談を受けた際の事例です。
娘様夫婦とお孫さんの5人暮らしで80代後半の女性、アルツハイマー型認知症と診断されています。
朝食を食べたのに、「朝ご飯は、まだ?」昼も夜も食べても忘れ、「ご飯は、まだ?」と聞かれるので、ついつい「今、食べたでしょう!」と怒ってしまう。
認知症が進行すると、近時記憶と言われる、ごく最近のできごとを忘れてしまう症状が現れます。この時の、高齢者の方の気持ちは、食事をしたのか不安な気持ちになり、家族に迷惑を掛けてないのかと悩んでいます。それなのに、頭ごなしに「今、食べたでしょう!」と怒ってしまうと、本人も不安な気持ちが強くなります。
食べた後に、「まだ?」と言われた時には、耳を傾け話を聞くなど、コミュニケーションを取ること。それでも繰り返し聞かれる時は、会話を変えることが有効です。家族だけで悩まずに、ケアマネージャーさんや介護サービス事業所の方などに相談をしてください。